この間TVで、チューリッヒ動物園の紹介番組をやっていた。
ビックリした。知らない間に動物園ってこんな風になってたんだ!
動物園っていうか、なんだろう、サファリパークとも違うし、大きな意味での囲いはあるのだけれど、とにかくそこにいる動物たちも「これって自然界?」って錯覚するような感じ。
現に動物園の中で、動物によっては自然分娩するっていうから驚きだ。
ってことは、あんなに敏感な動物たちがサバンナとかジャングルにいる気分になってるってことだよね。
うわーとか、すごいな、とか思って、ずっと見ていると、アフリカ・マダカスカルの熱帯雨林をそのまま巨大ドームに作り出した場所を紹介することになった。トキやオオコウモリが飛び交い、よーく見るとカメレオンなんかも木の枝にいたりする。「ここになにそれがいますよ」という表示もなく、実際、熱帯雨林にはいって生き物を探しだすみたいな感じ。
聞けば、現地から移植した植物が500種類も生い茂っており、未だに現地から種を送ってもらって、育てて保存していこうともしている。要はスヴァールバル世界種子貯蔵庫のマダカスカルバージョンみたいなもの。
もちろんマダガスカルといえば、昆虫さんたちもたくさんいるわけで、ゴキブリやシロアリまでも自由にお過ごしになっている。
しかし、チューリッヒといえば冬は零下まで冷え込む土地柄。この熱帯雨林ドームがその場所に存在するというのも、なんかすごい。おまけに、民営。ほとんどの経費は、入場料や販売、州や市の補助でまかなっているという。この熱帯雨林なんかの建設費は、全部寄付でまかなったそうだ。
最初は、興奮してゾウさんの泳ぐ姿とかみていたのだけど、ちょっとだけ、ちょっとだけ怖くなってきたのも事実。
今の形やこれからの形を模索して作り出し、種の保存を考えればベストなのかもしれない。
地球と人間と動物とその他のいろいろな生き物が共存する当たり前の世界を、寒い国のドームの中の熱帯雨林で守らなくてはならない時代になったんだなあと。
別に、自然破壊とか地球環境とかを振りかざしてものを言う人間ではないし、実際、生まれた時からいままで、ご飯をべるという最低限のことでさえ、ある程度の犠牲の上に生きさせてもらっているから(二酸化炭素もだすしね)偉そうなことを言うつもりもない。
初めてマレーシアに行った時、飛行機が着陸する空港に高度を下げていった。
ふと窓の外をみると、見わたす限りのヤシの木が見えて来て「へー、ジャングルって、えらく几帳面にヤシの木が生えてるんだなあ」と馬鹿な私は思った。
飛行機を降りて雇ったガイドさんにその話をしたら「あれは、油をとるヤシの木で、ジャングルを伐採して人間が植えて作ってるものなんです」と言われた。ものすごい量のヤシの木を見た後だったので「そんなにヤシの木の油がいるの?」と聞いたら「私たちが使っているもののなかで、油ヤシの油が使われていないもの方が少ないですよ」と。
のんきにリゾートに来ているお調子者の私は、頭をぶん殴られたくらい落ち込んだことを思い出した。
せめて、出来ることははなんだろうと考え続けることにした。「知らなかったんだもん」とい言う事は簡単だけど、じゃあ「知ったからにはどうするの?」という事から逃げないように。
チューリッヒ動物園の運営費の3/4は、入場料(3000円)とお客さんが園内で使う売り上げで成り立っている。