説明
昭和40年代の復刻版
東京国立博物館その他の原画を、日本浮世絵協会の理事長だった楢崎宗重氏監修のもと、色彩・品格・時代色等を尊重し手刷度数を惜しみなく重ねて仕上げられた復刻版。
「謎の絵師」
東洲斎写楽は、江戸中期、寛政6年から7年にかけての約10ヶ月間に140点余りの作品を残して忽然と消えたため謎の絵師として知られる。本名生没年不詳。
『三代目市川八百蔵の田辺文蔵』について
写楽作品の中でも特に評価の高い第一期の作品でオリジナルの版元は蔦屋重三郎。
寛政6年(1794年)5月、都座にて上演された「花菖蒲文禄曽我」に取材した作品。「花菖蒲文禄曽我(はなあやめぶんろくそが)」は、当時よく知られた実際の仇討ち事件をもとに脚色された歌舞伎狂言。
寛政6年5月、都座の出しもの「花菖蒲文禄曾我」における八百蔵の田辺文蔵で、これも性格的な描写にすぐれた作例である。
著述の目的で1970年夏、欧米をまわったが、各地で一番多くみかけたのは、この田辺文蔵と嵐龍蔵の金貸石部金吉であった。
ドイツのコレクターのシャイベ氏のところではその龍蔵の絵三枚をならべ、格子縞に多少のちがいがあるが、どうなんだと言われた。
八百蔵の田辺文蔵も各地で見た。それらに共通してみられるのは、この絵がどれも比較的に保存と色目が良いことである。
ボストン美術館蔵には甲寅九月と手書がある。同じ例は他にもあるが、上演の日から4ヶ月もあとなのは何を意味するのであろうか。
その時版画ができて市販したものを、買った人が記念のために書き入れたのか、あるいはやはり上演時に市販されたのであろうか。
その記録は明らかでない。
–– 解説 文学博士 楢崎宗重
- 100%バージンアルファセルロース(酸加水分解により作品に悪影響を与えるリグニンを除いたパルプ)を原料とします。
- アルカリ性緩衝剤の添加によりペーハー値は保存額装マットの標準である 8.5±0.5に保たれています。
- 特許マイクロチャンバー技術が悪性ガスを吸着し、作品を積極的に守ります。
- 保存額装、あるいは一般的な額装で作品を永続的に保護したい場合に最適です。