リトグラフの技法

リトグラフ(lithograph)の技法について.

リトグラフの石板とプレス機(ベルギー,ブルージュのダリ展にて)

リトグラフの石板とプレス機(ベルギー,ブルージュのダリ展にて撮影)


版となる石

展示されていた石版

リトグラフ(lithograph)は平版の代表的な技法です。
リトはギリシャ語で「石」を意味し、ドイツのゾレンフォーヘンに産出する石灰石が最適とされており、もともと「石版画」と呼ばれました。今日では人造石灰石や金属の亜鉛、アルミを版材に用います。製版の原理は水と油の反発作用です。まず研磨により細かく砂目をたてた平らな版面に油性のチョークやクレヨン、解墨で直接図柄を描き、上から版全体にアラビアゴムと酸性化学薬品の溶液をかけます。化学作用によって描画部分は親油性に、他の部分は親水性になります。アラビアゴムが乾いた後、プリントクリーナーでクレヨンを落とすとイメージが白く現れます。版にスポンジで水をひくとアラビアゴム膜が落ち砂目は水を保ちます。ここに油性インクをつけたローラーを転がすと、親油性の描画部分にインクがのります。紙を置きその上にチンパンと呼ばれる当て板を乗せ、プレス機で刷ります。リトグラフのプレス機は銅版用のものとは異なり、約2cm幅の通常ウレタン製のスキージがチンパンの上を移動して加圧します。
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筆で描いた調子やクレヨンのタッチなど描いたままの再現性に優れた技法で、ヨーロッパではロートレック、シャガール、ピカソなどの画家たちがこの方法で盛んに作品を作っています。1798年にドイツ人劇作家のアロイス・ゼネフェルダ(1771-1834)が自分の戯曲を安価に印刷する方法として発明したものといわれています。19世紀中頃には多色石版画、続いて写真製版も登場しリトグラフは急速に発展しました。広告、出版、パンフレットなど印刷業界の手法であるオフセット印刷はこの原理を利用したものです。


せっかくだから版画の話をしよう第5回「版画の技法3」より– Galerie RECOLTE
金子國義リトグラフ集『不思議の国のアリス』