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Departure: 「The singing cook(不思議の国のアリスより)」金子國義

「Singing Cook」金子國義(不思議の国のアリスより)Lithography by Kuniyoshi Kaneko
「Singing Cook」金子國義(不思議の国のアリスより)
Lithography by Kuniyoshi Kaneko

アリスがいる時空があって、それを覗き込んでいる金子國義の空間があって、それをまた眺めてる私達がいて、今度はその背後に新しい持ち主のお部屋がある。そして今はどこだかわかんない遠く離れたところから、こんな連なりを眺めてる金子國義がいそう。
ラビリンスだ。「ラビリンス/魔王の迷宮」や「パンズ・ラビリンス」みたいに、時間と空間の迷宮を題材にした映画が何作かあるけど、見終わった後どれも楽しくて不思議な感じと、ちょっとした物悲しさが残る。まるで素敵な夢を見ていたのに、途中で目覚めてしまった、あのどこか捉えどころのない不確かな今、みたいな。それが天気のいい日のお昼寝だと、よけいに寂しさが増す感じに似てる。

Bye Bye David. 自由な青い鳥になって。

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『不思議の国のアリス』<7>
アリスは、その子をだいて外に出ました。「ブーブー、ブーブー」赤んぼうの顔をのぞきこむと、「あら、鼻も目もブタにそっくりだわ。でもブタにしては、なかなか器量よしね」

Alice, holding the baby went outside. The baby gruned. Alice peered at the baby’s face. “Oh, your nose and eyes are just like a pig’s. But you’re very handsome for a pig“ said Alice.

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Departure: 「A Great Girl(不思議の国のアリスより)」金子國義

「A Great Girl」金子國義Lithography by Kuniyoshi Kaneko
「A Great Girl 」金子國義(不思議の国のアリスより)
Lithography by Kuniyoshi Kaneko
大きくなったり、ちっちゃくなったり忙しいアリス。お客様に選んでいただくのはとても嬉しいのだけれど、こういう作品になると2度と会えないのではないのかしらと思えて、いつも寂しくなります。額装する時に眺めまくって、隅々までみていると、お別れが悲しくなります。でも、きっとそれがいい作品との出会いってことになるんでしょうね。ギャラリーで見てもらう作品も「自分の好きなもの」になってしまって当然だから、別れは辛いものです。でも、この作品を選んでくれた方も大好きで選んでくださったのだから、大切にしてくれるでしょう。
新しいお部屋を素敵に彩るんだよ。

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『不思議の国のアリス』<5>
アリスは、鏡の前にすわって、自慢の髪の毛をととのえると、目の前に、小さなびんを見つけました。こんどは、なんとも書いてありません。アリスは、「えい!飲んじゃえっと!」

As a Alice sat in front of the looking glass, arranging her hair, of which she was very proud, she noticed a small bottle in front of her. But there was no label on this bottle. “I think I might just drink this !” Alice said to herself.

金子國義 Kuniyoshi Kaneko 「不思議の国のアリス」リトグラフ集ほか

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偏頭痛持ちの方に朗報。「不思議の国のアリス」はルイス・キャロルの偏頭痛から生まれたのかもしれない!らしい。

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今年(2015年)はルイス・キャロルの名作「不思議の国のアリス」生誕150周年。
子供から大人まで愛される作品の元となる「独特な創造性」は、ルイス・キャロルが片頭痛持ちだったからかもしれないらしい。ということで不思議のアリス症候群なる症例を見つけたので、読んでみた。wikipediaによると、1955年にイギリスの精神科医トッド(英語: John Todd)によって名付けられたとのこと。

簡単に説明すると眼に障害がなく外界が通常と同じように見えていると考えられるにもかかわらず、一方では主観的にそれらが通常よりも極めて小さな、または大きなものになったように感じられたり、ずっと遠く、あるいは近くにあるように感じられたりする。

などなど、症状には様々なバリエーションがあるらしい。例えば人の顔だけにこの現象があらわれたり、母親が緑色に見えたり、時間の進み方が速くなったり、遅くなったり感じる人もいるらしい。

私は乗り物に乗って窓の外を見たときに限り、景色や建物や道が二次元にせり上がって見えて、とても実際の人間が生活したり歩いたりできる大きさと奥行きがあるように感じることができないのだが、それもその現象の一部だろうか。映画「インセプション」の中で、街並みがバンバン変形するときのような感覚に近いかもしれない…。子供の頃からの片頭痛持ちというのは当てはまるし、閃輝暗点になったこともあるしな。こわっ。ってことは、もしかして、クリストファー・ノーランも!

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ロバート・サブダの飛び出すアリス

片頭痛と不思議の国のアリス症候群が関係あるらしいのならば、片頭痛に関して調べてみよう。
見つけた。”頭痛にはタイレノール”のページで見つけた面白い記事を発見したので、かいつまんで。
片頭痛持ちの方は読んでみると、まあ、片頭痛も悪くないかと思えます。痛いのはやだけど。
タイレノールページの頭痛のお話

20世紀を代表する画家パブロ・ピカソも頭痛持ちだったらしい。
確かに、ピカソの画風は時代によって「これって、おなじ人が描いたの?」と思うほどいろいろだ。
「青の時代」に描いた「アンジェル・フェルナンデス・デ・ソートの肖像」や版画作品の「貧しき食事」などと、ジョルジュ・ブラックと共に作ったキュビズムの頃の「ゲルニカ」や「泣く女」を、なにも教えずに子供たちに見せたら同じ画家が描いたとは思わないよね。

オランダ・ライデン大学のミケル・フェラーリ教授の学説によると、ピカソは片頭痛による視覚障害で、目や鼻、口が左右非対称の人物が登場する「泣く女」や「ゲルニカ」のようなタッチの作品を描くようになったのではないかと言われています。教授は、神経科医や美術史家に、あまり知られていないピカソ作品と片頭痛で悩む患者が描いた絵のスライドを見せて、どちらがピカソが描いた絵かを当ててもらいましたが、どちらも似たタッチの絵でかなり選択に混乱があったと言われています。ピカソ本人が片頭痛を患っていたという文章や記録は残っていませんが、フェラーリ教授によれば「視覚異常が起きる極めて特殊な片頭痛だったので見過ごされたのかもしれない」という見解をしています。出典:(Wikipedia)

実はこの絵を描く作家も偏頭痛持ちなんだよね。やっぱ天才作家の片鱗があるんだね!

ねこぞうさん
ねこぞうさん

なんか・・・わかる気がする。
金子國義版画集『不思議の国のアリス』はこちらから。

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リトグラフの技法

リトグラフの石板とプレス機(ベルギー,ブルージュのダリ展にて)
リトグラフの石板とプレス機(ベルギー,ブルージュのダリ展にて撮影)

版となる石
展示されていた石版
リトグラフ(lithograph)は平版の代表的な技法です。
リトはギリシャ語で「石」を意味し、ドイツのゾレンフォーヘンに産出する石灰石が最適とされており、もともと「石版画」と呼ばれました。今日では人造石灰石や金属の亜鉛、アルミを版材に用います。製版の原理は水と油の反発作用です。まず研磨により細かく砂目をたてた平らな版面に油性のチョークやクレヨン、解墨で直接図柄を描き、上から版全体にアラビアゴムと酸性化学薬品の溶液をかけます。化学作用によって描画部分は親油性に、他の部分は親水性になります。アラビアゴムが乾いた後、プリントクリーナーでクレヨンを落とすとイメージが白く現れます。版にスポンジで水をひくとアラビアゴム膜が落ち砂目は水を保ちます。ここに油性インクをつけたローラーを転がすと、親油性の描画部分にインクがのります。紙を置きその上にチンパンと呼ばれる当て板を乗せ、プレス機で刷ります。リトグラフのプレス機は銅版用のものとは異なり、約2cm幅の通常ウレタン製のスキージがチンパンの上を移動して加圧します。
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筆で描いた調子やクレヨンのタッチなど描いたままの再現性に優れた技法で、ヨーロッパではロートレック、シャガール、ピカソなどの画家たちがこの方法で盛んに作品を作っています。1798年にドイツ人劇作家のアロイス・ゼネフェルダ(1771-1834)が自分の戯曲を安価に印刷する方法として発明したものといわれています。19世紀中頃には多色石版画、続いて写真製版も登場しリトグラフは急速に発展しました。広告、出版、パンフレットなど印刷業界の手法であるオフセット印刷はこの原理を利用したものです。
せっかくだから版画の話をしよう第5回「版画の技法3」より– Galerie RECOLTE

リトグラフの作品


金子國義リトグラフ集『不思議の国のアリス』